大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和25年(オ)222号 判決 1954年3月11日

松本市大字北深志堂町四九二番地

上告人

日産工業株式会社

右代表者代表取締役

森島武雄

名古屋市東区白壁町二丁目九番地

被上告人

小林進一

右当事者間の代金返還並びに損害賠償請求事件について、名古屋高等裁判所が昭和二五年五月二五日言渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告申立があつた。よつて当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告会社代表者森島武雄の上告理由について。

原判決は昭和二五年五月一一日開廷された第七回口頭弁論期日において、上告人(控訴人)及びその訴訟代理人不出頭のまま相手方訴訟代理人が弁論をなし弁論終結の上その口頭弁論の結果に基ずいて言渡されたものである。記録によれば、上告人側は昭和二四年一〇月二二日の第一回口頭弁論期日に対し上告会社代表取締役森島武雄の疾病(僧帽弁閉鎖不全症)を理由として延期申請をなし許可されて以来、第五回口頭弁論期日が職権で延期された外、昭和二五年四月一一日の第六回口頭弁論期日に至るまですべて同一理由で各期日の延期が申請され、いずれも裁判所により許容されてきたのであるが、前示第七回口頭弁論期日については、昭和二五年四月一四日上告会社代表者森島武雄に対し適法に該期日の通知が送達せられていたにも拘らず、上告人側は別段延期を求めることもなく出頭しなかつたものであることが認められる。それ故原審が上告人側不出頭のまま相手方訴訟代理人に弁論を命じその口頭弁論の結果に基ずいて判決をしたからとて、原判決に所論のような違法があるとはいい得ないこと勿論である。この点に関する論旨は採用に値しない。また、原審の認定した事実はその挙示する証拠を綜合すれば、これを肯認するに難くないのであつて、論旨はこの適法になされた原審の事実認定を非難する点もあるが、かかる事実誤認の主張は、上告適法の理由に当らない。なお上告人は当審において原審の事実認定に副わない事実を前提として被上告人に対し残代金三一万円の未払があると主張し、その即時支払を命ずる判決を当裁判所に求めている点もあるが、法律審である当審に対し新らたにかかる請求をなし得ないものであることは多言を要しないところである。論旨はすべて採ることを得ない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条により裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔)

昭和二五年(オ)第二二二号

上告人 日産工業株式会社

被上告人 小林進一

上告会社代表者森島武雄の上告の理由

第二審裁判所が控訴人の控訴は之を棄却する、控訴費用は第一、二審共控訴人の負担とするとの判決は上告人が病気の為証拠物件及び証人申請が出来得ずかつ出廷不可能なる処、被上告人の一方的理由及び被上告人側証人の証言を採用し是が右の判決を為すは違法の判決なり是れ上告人が前判決の破毀を求めんとする所以なり。

本件は買主人山口弁蔵、長屋浦吉、加藤安吉の三氏が上告人とは何等の関係もない小林進  を名儀人として昭和二十二年十一月二日長野県松本市にてインゴツトケース二百五十屯、カーボン十屯の売買契約を上告人と結びました。依て契約履行の為昭和二十二年十一月十一日カーボン十七屯を契約者の意向により鈴木ヴイオリン会社内長屋浦吉氏宛、インゴツトケースについては履行期日迄に入手出来ない事情(松本市になかつた為)が発生しましたので契約者の合意の上で代物として昭和二十三年二月二日チヤンネル七、五屯を小林進一氏宛同年五月八日古銑鉄及カーボン十四、五屯を鈴木ヴイオリン会社内長屋浦吉氏宛日本通運株式会社松本支店及南松本営業所より発送したことは同店発行の貨物通知書に依り明らかなるも相手人はチヤンネル七、一屯(事実より〇、四屯減)のみ受取り他は受取らないと主張しその合計代金金五十三万円也の中金二十二万円也しか支払ず残金金三十一万円也は未払になつて居ります。その後小林氏は契約不履行と称し上告人に支払済みの金二十二万円也の返却方の訴訟を起しました。

その裁判中上告人は病気のため出頭出来ず(延期願書提出済)証人証拠も提出出来ずに居りました処前裁判所の判決及相手方の証言内容が又上告人の申立も左の様に違つて居ります。

一、昭和二十二年十一月十日発送カーボン十屯貨物通知書に依れば十一月十一日発送カーボン十七屯。

二、昭和二十三年二月二日発送チヤンネル七、一屯はチヤンネル七、五屯。

三、昭和二十三年五月八日発送古銑鉄十屯は古銑鉄及カーボン十四、五屯。

依て日本通運株式会社発行の貨物通知書を発送証拠として受理せられ再審査を請求致します。

以上

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例